AIとの協働をどう設計する?〜“任せる”と“共にやる”を設計する〜

AIとの協働をどう設計する?〜“任せる”と“共にやる”を設計する〜 AI

はじめに

AIは人間の代わりになる存在ではない。むしろ、私たちを拡張するパートナーです。

生成AIやAIエージェントの話になると、どうしても「人の仕事がなくなるのでは?」という懸念がつきまといます。しかし、実際の現場で見えてくるのは、「代替」ではなく「補完」や「強化」という視点の重要性です。

UXデザイナーとして私たちは、AIを”ツール”ではなく”協働者”として扱い、ユーザーがAIと気持ちよく一緒に働ける体験を設計する立場にあります。

「強化」の設計とは何か?

UXで考えるべき「強化」の設計は、以下のような観点を含みます。

観点解説
速度の強化ユーザーの作業時間を短縮し、本質的な判断や創造に集中できるようにする
理解の強化情報の要点整理、可視化などを通じて、意思決定をサポートする
表現の強化書く・描く・説明するなどの表現活動を助け、誰もが発信しやすくなるようにする
記憶の強化会話の履歴や過去データをAIが覚え、ユーザーの一貫性を支援する

UXデザイナーは、これらを「手応えのある体験」として落とし込む設計者となる必要があります。

UXパターン例:協働を感じさせるUI

以下は「人とAIの協働感」を高める具体的なUX設計例です。

「あなたの代わりにやっておきました」ではなく、「一緒に考えてみました」
→ 自動処理の結果を即表示するだけでなく、選択肢として提示し、ユーザーに選ばせる

「黙ってやる」より、「確認してくれるAI」
→ タスク完了後に「この内容で送信しますか?」と聞くことで、主導権をユーザーに残す

「ただ速い」ではなく「気が利く」
→ ユーザーの入力傾向を学習して、“次にやるべきこと”を自然に促すUX設計

なぜ「共創」が重要なのか?

人間が持つ「納得感」や「創造性」は、単なる効率化では生まれません。UX設計のゴールは、“時短”だけではなく、自分でやったと感じられる体験の提供です。

たとえば:

  • 完成された提案書より、「自分で最後に一言加えた」方が納得感がある
  • 全自動より、「自分が選んだ結果」が残るUIの方が記憶に残る

このような「心理的オーナーシップ」を保ちながら設計することが、人とAIの協働を成功させる鍵になります。

おわりに(まとめ)

AIが人の仕事を奪うのではなく、人の仕事を深く、豊かにしていく時代。UXデザイナーが果たすべき役割は、効率化された体験ではなく、納得感ある協働体験の設計です。

  • 人の判断を尊重しつつ、自動化を活かす
  • ユーザーの主導権を奪わず、拡張する
  • 一緒に働く“パートナーAI”としての設計視点を持つ

AIが「できること」よりも、人と一緒に「やるべきこと」をどうデザインするかここがUXの本質だと思っています。

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