はじめに
色をチームで共有する重要性──
色はUXデザインにおける情報整理や行動誘導の重要な要素ですが、複数人のデザイナーやエンジニアが関わる場合、認識や使用法にばらつきが生じやすく、プロダクト全体の一貫性を損ねることがあります。
チームで色を共有するためには、デザインシステムにカラーパレットを組み込み、共通ルールとして扱うことが有効です。これにより、UXの統一性と作業効率が向上し、ブランド体験の安定性も確保できます。
デザインシステムで色を統一するメリット
一貫性の確保
色を共通ルールとして扱うことで、UXの一貫性とユーザーの安心感を高められます。
- ブランドカラーを全画面で統一
- CTAやリンクの意味をチーム全員が理解
- UIコンポーネントの色を統一し、ユーザー体験の安定を提供
作業効率の向上
カラーパレットやスタイルをツールで管理すると、色選定や修正作業の手間を大幅に削減できます。
- カラー選定の迷いを減らす
- FigmaやSketchで一括変更が可能
- 再利用性の高いコンポーネントでプロトタイプ作成を効率化
コラボレーションの強化
共通の色ルールは、チーム内のコミュニケーションをスムーズにし、レビューやフィードバックを円滑にします。
- デザイナー、エンジニア、PM間で色の意味を共通認識化
- デザインレビューの効率化
- ブランド体験の統一感を維持
カラーパレットを軸にした設計
階層化されたカラーパレット
色を役割ごとに階層化することで、情報の優先度や行動誘導が明確になります。
- メインカラー:ブランド象徴色、ロゴや主要CTAで使用
- アクセントカラー:強調や注意喚起に使用
- ニュートラルカラー:背景や補助情報に使用、コントラスト確保
- ステートカラー:ボタンやフォームの状態(通常、ホバー、無効)で使用
色のバリエーションとトーン
同じ色でも明度や彩度を変えることで柔軟性を持たせ、ダークモードなどにも対応できます。
- 明度・彩度を調整してバリエーションを作成
- ダークモード用のバリエーションを事前に設計
- 色が変わっても意味が変わらないようルールを定義
チームでの色の共有方法
ツールでの統合
デザインツールやドキュメントを活用して、色を全員で参照可能にします。
- Figma:カラースタイルやコンポーネントに紐づけて統一
- Miro:ワークショップやフロー図でカラーパレットを参照
- Storybook:実装側でもカラーガイドとして利用可能
ドキュメント化とルール化
色の運用ルールを明文化することで、作業のブレを防ぎます。
- 色の用途、階層、トーン、アクセシビリティ基準を明記
- 新規コンポーネント作成時の参照ルールを設定
- 定期的にレビューし、ルール運用状況を確認
コミュニケーションの工夫
色に関する意図やルールを言語化して、チームで共有します。
- 色の命名規則を統一(例:primary-blue, secondary-green)
- デザインレビューで意図や使い方を明確化
- エンジニアが実装時に迷わないよう参照用のパレットを提供
アクセシビリティを考慮した共通言語づくり
色だけで情報を伝えると、視覚的な制約のあるユーザーに不便を与えます。デザインシステムにアクセシビリティを組み込み、誰もが同じ体験を得られるようにします。
- コントラスト比の基準を設定
- 色だけで情報を伝えず、アイコンやラベルで補完
- 色弱や視認性の異なるユーザーにも同じ体験を提供
おわりに(まとめ)
カラーパレットを軸にデザインシステムを整備することで、チーム全員が同じ方向を向き、UXの一貫性を維持できます。
- 階層化されたカラーパレットで情報の優先度を明確化
- ツールやドキュメントで全員が色を共有
- アクセシビリティ基準を組み込み、すべてのユーザーに配慮
- 定期的なレビューで運用精度を維持
カラーパレットを中心にしたデザインシステムは、ブランドとUXの一貫性を保ちつつ、チームの作業効率とコラボレーションを高める強力なツールです。
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